騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


 はぁ、一体どうしたらいいんだろう……そう思いつつも、持ち場に立ちながらお茶を楽しむご令嬢達に目を向けた。


「ふふふ、わたくし婚約が決まりましたの。両親が許してくださいましたのよ」

「まぁ! おめでとうございます!」

「とってもお似合いだと思っていましたの。幸せそうで何よりですわ」


 ……きゃっきゃうふふで楽しそうで何より。けれど、こういう時に思うのは、団服を選んでよかった、という事。

 女の子ってこういう恋バナが好きなんだろうけれど、私としては結構苦手だ。これのどこがいいのやら。まぁ私には全く関係な……いわけではない。はぁ、どうしよう……


「侯爵家なのだから子爵家に嫁ぐのは許さないと言われてしまっていたのだけれど、彼がこちらに婿養子に入る事で落ち着いたの。彼は下位貴族の子息であっても、とても優秀で貴族学校を首席で卒業していたから、許してもらえたのよ」

「そうでしたか。この国では身分は重要ですが、遺伝子に限らず優秀な方はいらっしゃいますからね」


 ……すごいな、首席で卒業だなんて。

 確かに、この国では身分は重要。けれど、子爵家の子息が侯爵家のご令嬢と結婚だなんてだいぶニュースになりそうな話だし、これからも大変そうだ。重要、という事は自分の生まれた家が一生付いて回る事になる。何かあればその話が出されてしまうのだから。

 まぁ、愛さえあれば乗り越えられるとでも言うんでしょうね。具体的にはどうするのか知らないけれど。

 自分の持ち場にて警備をしつつ、風の音色のようにご令嬢達の話を何となく聞いていた。

 幸せ、か……私は剣を握っていられれば幸せだと思う。でもこれは、同じ年のご令嬢達は全く理解出来ないらしい。まぁ、私には関係ないけれど。

 そんな事を思っていると、お茶会が終わりお帰りになった事を確認すると私達はお昼休憩という事で違う班の第三騎士団員と交代した。


「ふぁ~腹減ったぁ……早く食いに行こうぜ」

「私、途中で先輩がお腹鳴らしてたの聞きましたよ」

「……マジ?」

「はい」


 いいなぁ、ガストン先輩は呑気にお腹空かせられて。私なんてお腹いっぱいだよ……

 内心ため息を吐きつつ、先輩達3人と騎士団専用食堂に向かった。