騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!


 次の日。ご尊顔をまじかで見ての目覚めとなった。……朝から心臓に悪い。


「おはよう、テレシア」

「……おはようございます」


 昨日の婚約宣言パーティーを思い出し、まだ夢の中ではないだろうかと考えてしまった。会場を去った後、もうすでに用意していたらしい婚約届にサインをし、そのまますぐ提出するからテレシアはこのまま休んでいいと女子寮に戻された。

 ……まではよかった。

 その後、気が付けば部屋に団長様がいて……


『ようやく私のものになってくれたな……可愛いテレシア、これからは絶対に私のそばを離れないでくれ』


 と、甘い言葉を囁かれてしまった。そして、今。ベッドの周りに散乱する、私の部屋着と、近衛騎士団長の正装。今はまだ使節団の方達が来訪なさっているというのに……止めるはずが、全く余裕がなくなりこうなってしまった。

 あぁ……申し訳ない。誰に対しての謝罪かは分からないけれど、謝らずにはいられない。この整ったお顔を前に待ったをかけることが出来なかった。


「朝一番でテレシアに名前を呼んでほしいんだが、いいか?」

「……」


 私の気も知らないで、と言いたいところだけれど……頬を撫でて微笑まないでほしい。