パパに会いたいだけなのに!

「ショーンかぁ。たしかフィリックとと同じ事務所なんだよね」
「フィリック?」
「まさか果音、知らないの? PhilHoLic(フィルホリック)略してフィリック!」
まったくピンとこなくて、ぽかんとしてしまう。
「最近人気急上昇中のイケメンアイドルユニットだよ」
「男の子のアイドルってあんまり興味なくて。レッグもたまたまおすすめ動画で出てきただけだし」
「だからって、フィリックくらい知っててよ〜」
莉子に呆れられてしまった。
だけど女の子のアイドルの方がかわいくて、髪形とか服装とか参考になるし。
「それにしても、今日のお弁当もおいしそうだね」
莉子がわたしのお弁当を見て言う。
「今朝は寝坊したから、晩ごはんの残りを詰めこんだだけだけどね」
「晩ごはんも果音が作ったんでしょ? エビチリ超おいしそー!」
「ママってヘアアレンジは得意だけど、料理は苦手だからね」

だからわたしは、小学生の頃から料理を担当してる。
料理は大得意♪ ハンバーグだってエビフライだってグラタンだって、たまにうちに晩ごはんを食べに来る莉子からも『おいしい』って大好評。
お弁当もママの分まで毎日わたしが作ってるんだ。

「ん? 料理……あ! そうだ!」
「ん?」

「わたし、ショーンに差し入れ持って会いに行ってみる!」

「え!? そんなのあり!?」
莉子はびっくりしてる。
「会えるかどうかはわからないけど、パパの好きな食べ物のことはママからさんざん聞いてるもん。ショーンが喜ぶお弁当、作れると思うの」

ショーンがパパなら喜んでほしいし、ママのこと、思い出してほしい。