パパに会いたいだけなのに!

「ところで果音、その格好のときはもっと男っぽいしゃべり方にしろよな。それに理澄も、果音〝ちゃん〟は無しだって言ってるだろ?」
拓斗くんがわたしと理澄くんに注意する。
「このカツラ暑いです。こんなのかぶらなくてもいいんじゃないですか?」
そう、二人と一緒にいるときのわたしは男の子のアイドル見習いに変装することになった。
ショートカットのカツラに、ズボン姿、それに念のためメガネなんかもかけている。
ちなみに名前はアイドル時代のママからもらって虹瀬果音。
「理澄だって言ってただろ? 女子のマネージャーはマズいって。だから男のフリはマスト!」
ムジカには女の子のタレントもいるけど、女の子が二人と一緒にいたらファンの子たちが怒っちゃうからって。
「でも拓斗、僕が果音ちゃんのこと〝果音〟って呼びすてにすると不機嫌になるじゃないか」
「だから虹瀬くんって呼べって言ってるだろ。果音は俺のマネージャーなんだからなれなれしくするなよ」
拓斗くんはこの間からこんな調子。おもちゃをひとりじめしたい子どもみたい。
「気にしないで理澄くん、果音でいいから。それにわた……じゃなくて、ボクは二人のマネージャーのつもりだから」
理澄くんに笑いかけると、拓斗くんはすねるみたいに口をとがらせる。