「言って」
「……クラス替えあるじゃん……」
ん? クラス替え? 落ち込んどる理由、まさか、それ?
「そんなことかよ…」
「そんなこと!? だってみんな離れちゃうかもしれないんだよ!? 京はそれでもいいの!?」
いやいや……離れても2クラスしかないが。ていうか……。
「んな気にすることじゃないけん」
そう言った瞬間、綾が強烈な蹴りを入れてきた。
目が怖いんじゃけど……!
「京のバカ! 綾と離れてもいいんだ!」
あ……また……。
綾は不機嫌そうな顔をして、そっぽを向いちょる。
綾は素直だ。
ていうより、素直すぎというか純粋というか……何ちゅーか。
こういう綾はひどく可愛く思えて、触れたくなる。しかも困ったことに、俺まで素直にさせる。
「そんな心配せんでも、一緒になるけん」
「嘘ついてもダメだもん」
嘘は言っちょらんのに……。
綾は怒っとるんか、ほんのり赤くなった頬を膨らませている。
そんな綾が可笑しくて、俺は学校までの道のりをずっと笑いながら歩いた。



