「えへへっ。たまには〜、綾が京を迎えに来てあげるの!」
「……別にいいが」
俺はいつからだったか、綾の家の前で綾を待って一緒に学校に行っちょる。
「何さぁーっ。せっかく早起きしたのに! 泣き虫京のバカー!」
「なっ! ふっざけんなや、綾!」
言い逃げする綾を、全速力で追い掛けた。
俺は綾に泣き顔を見られた。
家族のことで嫌になってた時、助けてくれたのが綾だった。
なぜか綾には心を許してしまう。それは綾が出す優しい雰囲気のせいかもしれん。
「はあーあ」
隣を歩く綾は溜め息をついて何やら落ち込んどった。
「何かや?」
綾は俺をチラッと見て、また溜め息をついた。学校までの道のり、綾はずっと眉を寄せて溜め息をついちょる。
俺は何か心配になって、綾の手を引いて立ち止まらせた。
「何かあったかや?」
顔を覗くと、綾は途端に悲しい顔をして俯いてしまった。