理由を知ったのは冬。
それは俺と家族との確かな変化で、絶対忘れられん日になった。
「じゃあ、そろそろ行くけん」
きっかけをくれたのは、あいつだ。
「いってらっしゃい」
人形のように綺麗な女の子、綾。
――綾に出会ったのは去年の春。
初めて会った時の印象はすごかった。
こんな田舎に似合わない、ふわふわの真っ白なワンピースを着て、栗色の髪をなびかせながら大きな瞳で俺を見ちょった。
とても小4には見えなくて、この田舎で1番の美人だと思った。
名前がしゃれてると言ったら、俺のほうがしゃれてると言われた。
『綾なんてどこにでもいるよ。京の方が<きょう>って書いて<けい>って読むの、変』
……変て何だ。名前の由来なんて聞いたことないから分からんけど、俺にとっては京って書いて<きょう>って読むほうが変だ。
そんなことを思いながら家の敷地を出ると、
「フフッ」
と、後ろで声が聞こえた。
「? ……綾っ!?」
……なんで俺の家の前にいるかや。