……京。


京……どこにいるの?

雪の中、泣いてるの?

風邪引いちゃうよ。どこにいるの?


涙が止まらなかった。冷たい風が、乱れ飛ぶ雪が、視界を悪くする。



――神様。

どうか京が、泣いていませんように。

京が、自分を無力だと思い、蔑みませんように。


お願いだから、果てしなく続く真っ白なこの町で、京をひとりにしないで。




「――京っ!」


秘密の場所に京がいた。

蛍のいない、冷たい森の中で、京はしゃがみ込んでいた。


「京っ! け、い……」


綾が近付くと、京はその場にうずくまった。


顔が見えなくても分かる。肩を、震わせていたから。


「……泣かないで京。ひとりじゃないから。綾が……いるよ」



綾たちは幼かった。ふたりは子供で、何もできない。


綾は京にこんなことしか言えず、京は泣くことしかできなかった。