「直姉が弁護士になりたいって知っちょって、勉強したいって分かっちょるくせに、何で退院させんが」
「……知らんが。親父達が何も考えてないと思っちょるんは、お前だけだけん」
「じゃあ話せや!!」
京の怒りが静まらない。こんな京は初めてで、こんな京は見たくなかった。
京が苦しそうだよ……話してあげてよ……。
何で話してあげないの? それともほんとに、何も考えてないの……?
京が今にも泣きだしそうだった。
京は、お父さんたちがお姉さんの夢を妨げていることに怒ってるんだ……。
「京、いい加減にしんさい。お母さんたち、何も考えてないわけじゃないけん」
その言葉を聞いた途端、京は持っていたカバンを投げ捨てた。
「俺はお前らみたいになりたくないけん! 仕事ばっかで、ろくに見舞いも行かんっ。そぎゃん仕事に憧れたりせん!!」
──パンッ!
………!!
「……やめなさいって、言っちょるけん……」
京ママが、京の頬を叩いた。その手は震えている。



