「綾は……ママ似です」
「じゃあ、きっとものすごく美人だけんね! 見たいわぁ〜」
綾は何も言わず静かに笑い、
「京たちはふたり兄弟なんですね」
と、できるだけ自然に話題を変えた。
「実は3人兄弟だけん」
「えっ、もうひとりいるんですか!?」
「1番上が長女だけん」
お姉さんがいるんだ!
「体が弱くてね、ずっと入院しちょるけん」
声を落として、お父さんが言った。
その時、気配に気付いた。見ると、京がリビングのドアで立ち止まっていた。
「……京?」
京の雰囲気が、いつもと違う。
初めて京の家に来た帰り、京が出した雰囲気。悲しみと、誰に向けられたのか、少しの憎しみ。
今、はっきりと気付いた。
京は、お父さんを憎んでる……。



