「あ〜、小学生には早かったかな。うんうん」
律兄はそう言って、背伸びをしながらこっちを見た。
「もう下行けば? ご飯できちょるじゃろ」
それだけ言って、律兄は鼻歌を歌いながら部屋を後にした。
「……今日は俺ん家いれば? 夕方送るけん」
「うん、ありがとう」
綾は満面の笑みを見せ、部屋を見渡す。
「広いね、部屋」
壁は白く、天井には大きな窓がついていて、雪が積もって白く輝いていた。
つられるようにそれを京も見上げて、「あぁ」と言葉をもらす。
「夏はプラネタリウム」
「いーなー!」
寝ながら星を見られるなんて……すごい素敵じゃない?
「来年また来ればいいけん」
京は立ち上がり、階段へ向かった。
「腹減った〜」と言う京に、綾は笑いながら着いて行く。
来年。
そうだ。まだまだ時間はあるよね。再来年も、中学も高校も、一緒にいようとすれば、いられるんだよね?
この町に越して来て、よかった。
京に逢えたから。
「何ニヤニヤしちょるが」
「えへへっ。別に〜!」
綾が笑うと、京も笑う。
幸せ。ほんとに幸せ。ずーっと、ずーっと一緒だよ。
だけどこの時、幼い綾は気付かなかったの。
ずっと一緒だなんて、ありえなかったんだよ。
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