「もー……。何ですぐプロレス技をきめようとするかなぁ」
京の部屋で苺を食べるあたしは、先ほどまで繰り広げられていた兄弟喧嘩に異議を唱える。
「口喧嘩ならいいけど、怪我したらどうすんのー?」
「大丈夫だけん。律兄すぐ諦めちょーし」
律兄は結局、京には勝てず床に倒れて動かなくなった。
「あたし、律兄の魂が見えたよ」
「俺も見えたけん」
「あれ、ふり?」
「そうだけん。いっつも俺に負けたふり」
「律兄ってマゾ?」
「はははっ! そうかもっ」
けらけら笑う京は律兄の前では冷たいけど、本当は律兄のことを慕っているんだと思う。
律兄もすぐ京に喧嘩をふっかけるけど、身を引くのもいつだって律兄のほうからだ。
「いいお兄ちゃんだよね」
そう言うと京も肯定するように微笑む。
いいなぁ……あたしも姉弟欲しかったな。
「律兄は綾の兄ちゃんでもあるけん」
「……京ってエスパー?」
「顔に出ちょるもん」
「愛の力だね」
「……またそういうこと……」
「へへ〜」
照れる京に、あたしの胸はキュンとする。
きっと、愛の力だよね。
京の愛は何よりも大きくて、深いんだから。



