「……泣きすぎじゃろ」
「だっ……だって……ひっく…」
物語の中盤だというのに、あたしは既に号泣だった。
ダメだあたし。感情移入しすぎ……。
「綾」
「ん?」
「おいで」
そう言った京は、自分の膝を曲げて足と足の間の床を叩いた。
「…………」
涙が引っ込んだあたしは、いそいそと京の足の間に入り込む。
「……お邪魔します」
「ん」
ドキドキする鼓動を抑えて映画に集中しようとすると、京の手が腰に回されて、あたしのヘソの辺りで両手が組まれた。
けっ……京のバカー!
さらにドキドキしてしまう。そんなあたしに気づいたのか、京はクスッと笑って耳元で囁いた。
「心臓の音、速かね」
ボッ!と顔が熱くなる。文句を言ってやろうと勢いよく振り向けば、
「俺じゃなくて映画観ちょれよ」
と言われてしまい、二の句が継げなくなった。そんなあたしに京は満足そうに笑う。
ムーカーつーくー!!
何さ何さっ、いっつも余裕たっぷりでさ! あたしにばっかり恥ずかしい思いさせてさ!
ムスッと映画を見るあたしは、京にどうやって仕返しをするかってことばかり考えていた。



