「帰ろ」
「え?」
京の発言に、みんな京を見る。
「まだ時間あるし、よく考えたらいいけん。そんなすぐ決められんじゃろ」
京が朋に微笑むと、朋は頷く。
「ちょっと……考えるけん」
あわわわわ……和也の顔っ! 一気に不機嫌だよ!
「ほんじゃ帰っか〜」
理一が言うと、陸と陽子が顔を見合わせる。そして理一と京も顔を見合わせ、カバンを持って教室を出た。
あたしは京に引きずられる状態。
……な、なんで?
「ちょっと京っ」
ボソボソと京に話しかけると、首を傾げられた。
「いいの!?」
「何が?」
「朋が、先輩と花見行くかもしれないじゃんか!」
あたしと京と理一の後ろを歩く、和也と朋。何だかただならぬ空気を感じて、あたしが焦ってしまう。
「和也が引き止めれば問題ないけん」
「そーそー。あいつはいい加減、自分から動かんといけんが」
京と理一は悪戯に笑う。
……そういうもん? あたしなら朋を説得して、花見でどうにか進展を!って考えてたんだけど……。
「つか男なら、悩ませんなっつー話だけん。朋だって不安なんじゃろー? 和也に何とも思われちょらん、みたいなさ」
理一が髪の毛先をねじりながら言うと、京は肩をすくめた。
「男ならリードしなきゃダメだけん」
「…………」
ポカンとするあたしの顔を、ふたりが覗き込んだ。
「どうしたけん綾」
「何ボケーッとしちょるが」
「それ……いい男会議?」
ふたりが大人に見えて仕方ない。
「なんかやそれ」
フッと鼻で笑う京。
「どこにネジ落としたかや」
完全にバカにしてる理一。
「もう何でもないですぅーっ!」
フンッと顔を背けると、京は不思議そうに首を傾げ、理一は「何怒っちょるけん」と呆れた。
……ふたりとも友達思いでカッコいいよ。



