「ん?」
生徒たちがパラパラ帰る中教室に戻ると、窓際の席に理一や陽子が集まって、朋を囲んでいた。
「どーしたのーっ?」
京の首にしがみつきながら声を掛けると、朋が顔を赤くしていた。
「さっき、朋が3年生からデートに誘われたけん」
「「デート!?」」
理一がニヤリと笑えば、あたしと和也の声がハモる。
うわ〜……和也、ライバル登場?
「どんな人に誘われたの?」
「爽やか青年」
陸が言うと、「大人っぽい」と陽子が付け足した。
「なんつうの? 俺らみたいな感じじゃなくて、ザ!優等生!って感じだったけん」
理一がニヤニヤと笑ってポンッと肩を叩いたのは、思考停止中の和也。
「へ、へぇ〜……」
引きつった笑顔を見せる和也とは反対に、朋は顔を真っ赤にして俯いている。
「てかデートって、この田舎にデートスポットなんてないじゃん」
和也に助け舟を出すつもりで言ったのに、京が沈めてしまった。
「あれじゃろ? 今度の桜祭り」
一瞬だけパッと明るくなった和也の顔が、みるみる暗くなって行く。
「桜祭りなんてあったっけ?」
「ほら、今度俺らで花見しようって話しちょったじゃろ」
「あぁ! あれお祭りなんだ」
「綾ってバカ……いててて!」
京のほっぺをつねっていると、理一が朋に問い出した。
「どうするけん朋。俺らと花見行く? それとも先輩と行くかや?」
「……えっと……」
「朋のことなんだから、朋の好きなようにしていいけん」
理一……さすがにそれは……和也が黙っちゃいないんじゃ……。
理一の気持ちは分かる。
あたしも和也に、頑張ってほしい。



