「あ、終鈴」
「戻りますか〜」
春日和。暖かい風が吹く中、あたしたちは教室に戻る。
「綾」
「ん?」
廊下を歩いていると、京が突然あたしの耳辺りに触れて微笑んだ。
「何?」
「似合う」
妖艶に微笑む京に、胸がキューンと高鳴る。
京は和也と話しながら歩き出し、あたしは不思議に思って手洗い場の鏡を覗き込んだ。
京の行動に、顔が赤くなる。
鏡に写ったあたしの耳辺りに咲く、桜がひとつ。
似合うって……いつの間に桜なんか摘んだのよ……。
熱くなる頬を両手で包んで、和也が言った言葉を思い出す。
“京ってキザ過ぎる”
……確かにそうかもね、和也。でも、嬉しかったりするんだよ。
もちろん好きな人にされたなら、なおさら。
「………」
高揚した気持ちが抑えきれず、京を追いかけてその背中に飛び付いた。
「わっ! 何、綾!?」
「けーーいーーっ!」
「ははっ、何かや」
「俺がいる時にラブんじゃねぇーー!!」
和也が怒る中、あたしと京は幸せ満開だった。
桜咲く季節。あたしの心は、桜のようにピンク色。



