「あっ! 綾っ! 裏切り者ーっ!」
駐輪場にスクーターを停める京を置いてけぼりにして、ひと足先に校舎に走るあたし。
「綾ぁぁあ!」
「京遅いっ!」
「誰のせいだと思っちょーの!?」
追ってきた京と、
「京が起こしてくれないから!!」
「綾が二度寝するから!!」
と、遅刻した原因をなすり付けあいながら昇降口を駆け抜け、校舎に入る。
「もう総会始まっちょるが!」
「あぁ京っ! クラス分け見なきゃ!」
「は!? 見なくても同じクラスだけんっ」
「何組か分かんないと、体育館で座る場所も向かうクラスも分かんないじゃん!」
昇降口に戻り、戸口に貼ってあるクラス分け表を1組から見ていく。
えーっと。
うえき……植木……1組にもない、2組にもない……。
「「あった! 3組!」」
京と同時に2年3組に陽子の名前を見つけ、ザッと3組の生徒の名前を確認する。
「綾っ、早くっ!」
京に急かされ、体育館まで走る。
「何ニヤついちょー」
「へへ〜っ、楽しくなりそうだね!」
ニコニコするあたしに京は微笑んで、「当たり前だけん」と言った。
「問題児は一緒にしとかんと」
「最高すぎるよ〜っ!」
「陸と陽子、大変じゃろな」
「また朋に怒られるね!」
分かってはいたけど、やっぱり嬉しい。幸せ過ぎるっ。
─2年3組─
植木 陽子
立川 陸
根岸 朋美
穂高 理一
三波 綾
水島 京
村田 和也
楽しい1年が、始まる。