「何しちょるけん、綾」
「…………」
柔らかい香り。暖かさを纏い始めた空気。
目がくらまなかったのは、出逢った頃と同じように、あたしの顔を覗く京の姿があったから。
「……け……い……」
京の暖かい手が、流れた涙を拭った。ドキンと胸が高鳴る。
「……おじさんが心配しちょったが。はぁー……ほんと、病院抜け出して何しちょるけん……」
眉を下げて溜め息をつく京の額に、うっすらと汗が滲んでいた。
どうして………?
何で、見つけてくれるの?
ジワッと涙が浮かんで、慌てて目を覆った。
「……綾……?」
ううん。違う。
京ならきっと探しに来て、見つけてくれると思ってた。



