引っ越してきた次の日、挨拶回りをしていたら突然木の上から落ちてきた。
“俺、京っ! 京都の京で〈けい〉だけん!”
口の端を上げ、とても優しい目で、あたしを見つめていたんだ。
人懐っこくて、初対面なのに呼び捨てされて、人見知りのあたしはビックリした。
転校初日、遅刻してきた男の子は紛れもなく京だった。
同じクラスで、隣の席。
「……ぷっ」
そういえば、転校した日にあたしの家にクラスメート全員来たんだよなぁ……。
京とお互い、10歳に見えないって言い合ったな。
再び歩き出してたどり着いたのは、昔よく遊んだ川。京とふたりで、よく学校をサボって来た場所。
“お前まじで、お姫様っぽいもんねぇ……”
「どこがお姫様っぽいのよ……」
クスクス笑って、川からそう遠くない茂みに向かう。
懐かしい、秘密基地。
木の上には古びていたけど、まだ家らしきものがあった。
この町に引っ越してきて、初めての夏休み。京に頻繁に会えなくなって、寂しくて、陽子とここに来た。
久しぶりの京の笑顔が眩しくて、胸が苦しくて、あたしは逃げ出してしまった。
“寂しかったもん……逢えなくて”
追い掛けてきた京にそう言うと、
“俺もー……”
って、ぶっきらぼうに言われた。
顔を真っ赤にして、頭をガシガシ掻いて……。
すごくすごく、嬉しかったんだよ。



