「はぁ〜寒い……」
病院を抜け出して、始発のバスに乗り込んだ。
街から1時間はかかる、あたしが住む町。
バスは家の場所から少し遠い場所までしか停まらず、あたしはひとり歩いていた。
時刻はもう、7時半を過ぎている。
……パパ驚くだろうな〜。
病室には置き手紙を残しておいた。
“退院します。綾”
我ながら、何て破天荒な……。
「えっと……こっちかな?」
近道を探していたら、何となく迷ってしまった。
これだから森ばっかの田舎は……。
少しむつけながらも、気分はウキウキしていた。
本来のあたしを取り戻した気がして。
それ以上に、今のあたしは輝いてる気がして、動かずにはいられなかった。
ビュウッと冷たい風が吹く。
1月5日。もうすぐ、冬休みが終わる。
1週間も眠り続けて、もったいないと思ってしまう。
宿題終わってないよなぁ……。
色々なことを考えながら、あたしは町を練り歩いた。
最初にたどり着いたのは、道端にある、大きな木の下だった。
あたしが初めて、京と出逢った場所。



