“……昔言ったが。……俺が全部……受け取っちゃるって”
京を忘れたアタシが記憶の渦の中、君を探して彷徨った。
昔……? 何を言ったの……?
温かい手が、アタシの顔を包む。優しく、力強く、愛おしそうに……。
“今から言うこと、忘れんで………もう二度と、言わないけん……"
何を言うの………?
どうしてもう、二度と言わないの……?
“ずっと一緒におる。守っちゃる。俺が綾にとって、何よりも大きい存在になっちゃるけん”
飲み込まれてしまいそうなほど漆黒の瞳が、アタシを真っ直ぐ見つめる。
揺るぐことのない瞳には、何とも言えない情熱と光りが、宿っていた。
……アタシ、この瞳を知ってる……。
そう感じた瞬間。
“俺が全部、受け取っちゃるが”
あたしは記憶を、全てを、取り戻してしまった。
ああ……京……。
あの日の京の瞳には、あたしが映ってたんだね……。
京が東京に行ってしまう数日前。
“早く大人になりたい……”
そう言って、目を閉じたね。あの頃のあたしは、何も気付かなかった。
京が目を閉じた先に、何が映ったのか。何を見て、何を考え、何を感じたのか。
君は……そんなに幼い頃からあたしを……。
あたしとの未来を、映してくれてたんだね……。



