“綾……こっちに来ちゃダメっ!”
嫌だよ……っ。
もうひとりになりたくないの!
いつも笑顔で優しいママが、泣いていた。
ママに向かって走り続けるあたしに、必死に声を出して。
“ダメだよ綾……”
ママがそう言ってる。
それでもあたしは止まらない。
ママは涙を流して、顔を両手で覆う。
“こっちに来ちゃダメ……綾!”
嫌だよ……嫌だ……。
あたしはいなくなるの。
もう笑顔で生きられない。もう誰のそばにもいられない。
ママのそばにしか、居場所がないのに……。
ママはついに、しゃがみ込んでしまった。
“お願いよ綾……あなたには……そばにいてくれる人がいるでしょう……早く気付いて……っ"
瞬間、温もりが頬に触れた。
“俺が……そばにおるけん”
愛しい愛しい、愛する人の、手。



