そばにいたい。
そばにいたらダメ。
その葛藤が、ずっと続いていた。
もうひとりのアタシが京に恋をしてから、アタシはあたしの記憶を取り戻そうとしていた。
どうすればいいのかもう分からなくなって、あたしはママに助けを求めていた。
記憶を戻すことはできない。そばにいることもできない。
つらくて悲しくて、あたしは逃げていた。
ママが夢に出てくる理由も、ママの言葉も聞かず。
ただひたすら、ママに助けを求めて走り続けていたの。
そんな時、京からの手紙を見つけた。
あたしは涙を流した。もちろん、記憶のないアタシも……。
もう歯止めがきかなかった。
記憶があるあたしと、記憶のないアタシは、ひとつになりつつあった。
京が突然家に来た時、胸が高鳴ると同時に目に見えない不安があたしを襲っていた。
手紙を見せた時、京が泣きそうな顔をした。
だけどすぐ目のクマに気づいて、またあたしの不安を取り除こうとしていた。
京……悲しそうだった。悔しそうだった。
怒ってた……。泣いてた……。
その行動ひとつひとつに、心がえぐられるように痛んだの。



