「綾っ!?」
ガクンッと、突然綾が前に倒れ込んだ。
俺の腕の中の綾は、だらんとして、動く気配がない。
……綾……?
慌てて綾をベッドに寝かせて呼吸と心音を調べるが、何も異常はなかった。
ゾッと背筋が凍る。
「綾っ……綾っ!!」
揺すっても、目は開かない。
何で……。何でだよ……。
俺は綾の手を握って、そのまま顔を埋めた。
冷静に対処しなかった自分に、今さら後悔が襲ってきた。
感情のままに、言葉も選ばす、綾を責め立てるみたいになってしまった……。
俺はまた……間違ったんか……?
「……綾……」
顔を上げて、綾の顔を見つめる。
嫌だ……失いたくない……。
記憶が戻らなくていいなんて。そばにいて、笑ってさえいてくれればいいなんて……嘘だ。
ただの、強がり。
綾の瞳に俺が映らないなんて、それほどつらいことは、ない。