「小5の冬」
「……え?」
突然発した俺の言葉に、綾は戸惑いを見せた。
「その手紙に書いちょるやつ。……小5の冬にした約束のことだけん」
「小学……5年生?」
そうだよ。
綾が、京はどこにも行かない?って聞いてきたんだ。それで俺が、綾に好きだと言ったんだ。
守りたい。そう思った。
ずっと一緒にいたい。本気で思った。
あの日、ふたりでずっと一緒にいると約束したんだ。
「……どうしてその時……小5の時……約束をしたの?」
その言葉を、待っちょった。
「綾を守るため」
「……何から? あたしその頃……何か……あったっけ?」
俺は真っ直ぐ、瞬きもせずに綾を見つめた。
「お母さんの夢を見ちょったけん」
俺の言葉に、ビクッと過剰に反応した綾。
「……え?」
乾いた笑顔を見せた綾だけど、俺は表情を変えない。
……無駄だけん、綾。うっすらじゃけど、目の下にクマができちょる。



