「京……。これ、京が書いたんでしょう? ……京、あたしとしゃべる時、笑ってくれるけど……いつも寂しそうに笑う……」
俯き、手で覆った暗闇の中で、俺は目を見開いた。
「あたし……京を傷つけてる? ……もし、付き合ってたなら……あたし……好きな人のことまで忘れたの……?」
俺の意志とは関係なしに、ジワリと涙が浮かんだ。
「答えてよ京……。あたしと京は、恋人同士だったの……? この約束は……どんな約束なのっ?」
グッと下唇を噛んで、目を覆うのをやめた。
「………」
やっと顔を上げた俺を、涙を浮かべた綾が見つめる。大きな瞳から、今にも流れてしまいそうな涙。
あぁ……流れる……。
綾の目を見ながらそう思った時、俺の心臓がギクリと跳ねた。
理一の言葉が、脳裏に響く。
“綾に記憶がなくても関係ないが。お前は綾に、誓いをしていいんだけん”
……ごめん、理一。
もう一度誓いをする前に、俺にはやるべきことがあるんだ。



