……ありえん。
何でそれを……まだ持ってたんか……?
そんなもの、とうに捨てたとばっかり……。
「少し幼いけど……これ……京の字だよね?」
目の前に差し出されたのは、たった1枚の紙きれ。
「ねえ、京……答えて」
それは無理だけん、綾。
無理なんだ……まだ……話せない。
俺は口を手で覆う。
そんなもの……まだ持っていたなんて……。3年以上前だぞ……?
「京お願い………あたしと京は……付き合ってたの? ……この字……少し震えてる」
「……綾……違う……それは…」
違う? 何が? 何も違くなんてない。
「京お願い……教えてよ。……約束って何なの?」
綾が手に持っているものが、歪んで見える。
俺と綾が、付き合ってたと気づかせたもの。それは、黙って東京に行った俺が綾に唯一、残したもの。
“約束守れなくてごめん。
だけど
約束を守ることを誓うよ”
綾への愛を誓った、一通のラブレター。
綾を守るために、幼い頃の俺が考えた、たった1枚の紙切れ。



