ピンポーン、と呼び鈴を鳴らす。
――タタタッと階段を降りる音がしてしばらく、『はい』と綾の声がした。
「俺。京」
『……京? ……待ってね』
数秒待ってると、玄関が開いて綾が顔を出した。
「……どうしたの?」
「ちょっと……話あるけん」
「……上がって」
綾の顔に、戸惑いの表情がハッキリと出ていた。
「綾の部屋……分かるんだよね? 行ってて。今、飲みもの持ってくるから」
「……ん」
綾はリビングに行き、俺は階段を上る。
……何で分かったんだ。
俺があげたもので綾の部屋にあるんは、誕生日にプレゼントしたハートのネックレスと、香水だけだ。
どちらも俺があげたとは言っちょらん。聞かれた時には、誕生日プレゼントだって言えばいいと思っちょった。
陸や陽子からもプレゼントはあるし、何の疑問も持たんはず……。
……写真も、綾には焼き増ししちょらん。俺の家に来るたび一緒に見るほうが楽しいと、綾が言ったから。
それに綾は日記を書いちょらん。おじさんに調べてもらったから、日記がないのは明確な事実。
……何だ? 他に、何がある……?
綾の部屋に入り、見渡すが、特にこれと言ったものは見当たらない。
俺と綾が付き合ってたと気付くようなもんが、綾の手にあったなんて……。
それを目の前にした時、俺は平静を装えるんか……?
得体の知れないものに、俺は恐怖を覚えていた。



