「ありがとうね、京」
色々な昔話をした。俺と綾の思い出に、陸や陽子もいたように話したけど、嬉しそうに聞く綾の笑顔を見れば、どうってことなかった。
「……あたしね、病気だってことを悪いようにしか考えられなかったの。みんなにも、いっぱい迷惑とか、心配かけちゃうんじゃないかって……」
綾を家まで送る短い道のりを歩き終わると、ぽつりぽつりと話す綾。
「でも、京の言葉に救われた。本当にありがとう」
笑顔を見せた綾に、俺は笑い返す。
「約束して」
「……約束……?」
「綾も約束してほしいけん。俺らが悩んだり、悲しんだりしたら、頼っていいって……そばにおるって……」
約束してほしい。
約束ほど、曖昧なものはないけど。約束ほど、信じられるものもない。
矛盾しちょるのは分かる。
でも、してほしい。綾の言葉を、聞きたいんだ。
「……約束する」
綾は真っ直ぐ、俺を見つめた。
「あたしは、京のそばにいるよ」
何よりも、聞きたかった言葉。その言葉が約束となって、俺を支える。
「……ありがとう」
「あたしも。ありがとう」
綾はニッコリ笑って、俺に背を向けた。
……今すぐ、その細い体を抱き締めたい。
綾が玄関に入るまでの数秒間、俺は心の中で葛藤していた。



