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「三波さん。これで終わりでしょうかっ?」
朝食を食べ終わってすぐ引越し業者の人が来て、まとめた荷物をトラックに乗せていった。汗を滴らせた業者の人に、パパは微笑む。
「はい。よろしくお願いします」
パパが言うと、業者の人はお辞儀をして出ていった。
日当たりの良いリビングには、何もなかった。もちろん、この家にあった物全て。
「綾、昼過ぎには出るから準備しといてね?」
ポケットから煙草を出しながらパパは言い、綾は静かに頷き、落ち着かないように髪を触る。
「ここで吸っていいよ」
パパは何も言わずにただ静かに微笑み、窓の外へ向かった。
「いいって言ってるのに……」
パパのバカ。気、遣いすぎだよ。
「……あ」
パパに不満を感じたことであることを思い出し、キッチンへと足を運ぶ。
置いてある紙袋を手慣れた手つきで取ると、中から数種類の薬を出した。



