「でも、京。お前は綾を傷つけたりはしちょらんが」
「……そぎゃんこと、分からんじゃろ」
「……京。綾が1番、本当に望んどることは何か、分かるかや?」
「綾が1番……望んどること……?」
それは……。
「俺らを傷つけんように、悲しませんように、離れることじゃろ?」
綾は何よりもそれを望んだはずだ。
俺らを傷つけるよりも、自分が傷つくことを望んだ。
「違うが、京。綾の本当の望みは、全然違うけん」
違う? じゃあ……何だ……。
「綾はお前の夢の理由を知って、いなくなる自分なんかより、他の誰かと幸せになってほしい。そう思って離れたが。それは綾が望んだことだけん。だけどな京、綾が本当に、心から望んどったのは……」
理一の目が、俺を真っ直ぐ捉えた。
「京と、ずっと一緒にいたい。……たったそれだけだけん」
「……お……れ?」
綾の本当の望みは、俺と一緒におること……?
「その先輩に、誰にも言わんようにって念押しして、本当の気持ちを伝えとったらしい。綾はとっくに、俺かお前か決めちょったけん。……決める暇もなく、綾はもう一度、お前に恋しちょーよ」
「……」
「お前の夢を知って、離れようとしたのは確かだけん。けど、知ってようが知らんかろうが、綾は離れたと思わんか? お前のせいじゃなか」
理一はシルバーの髪を、グシャグシャと掻いて言葉を続けた。
「だってそうじゃろ? お前の夢を知っても、綾は京と一緒にいたいって言ったんじゃから。お前が受け入れるべきなんは、綾の想いだけだけん」
「本当に……綾がそう言ったのか?」
「綾が望んどるのはお前だ、京」



