「俺昔さ、面白かったってだけ書いたら、先生に殴られたけん」
「普通にバカ!」
和也を指差して、理一はゲラゲラ笑う。
「読書感想文って難しいけんね。読むのも大変だし、あたしも苦手」
陽子が言うと、朋が頷く。
難しいか……俺はそうでもないけどな。だって……、
「「後書き」」
俺と綾の声が重なり、綾は驚いたように俺を見つめた。俺もビックリしてしまったけど、平静を装って笑う。
「やっぱ後書きだけんね」
綾が頷くと、朋が聞いてくる。
「何かや後書きって」
俺は読んでいた本を持って、テーブルの前に座り直す。
「エピローグ。終章。後書き読めば、原稿用紙2枚くらい書けるけん」
「まとめみたいな感じだから、本全ページを読まなくていいよね」
「後書きね〜。その手があったか」
「じゃあ俺も後書きだけ読も」
陸が安心したように化学のプリントを再び解き始めた。
……読むだけだぞ陸。本文もちゃんと読めや?
そう思ったけど口することはなく。俺は原稿用紙を広げて、後書きに書かれた内容と本文に書かれた文章を比較しながら、ペン先を走らせた。



