カランとシャーペンを置くと、隣の陸が俺を見つめた。
「終わったかや? 早いな」
「陸、現代文苦手じゃったっけ」
「問題文の意味がよく分からんけん。回りくどい……」
不機嫌にそう言う陸に、思わず笑ってしまった。
「なぁ、これ何だっけ。二酸化炭素? 化学式なんかや?」
「はぁ? 元素記号じゃろ? CO2!」
「え〜嘘じゃろ〜」
化学式をひたすら書くプリントをやっちょる和也と理一。から、隣の綾に視線を移す。
「綾……分かんないなら聞け」
完全にフリーズしていた綾に声をかけると、泣きそうな顔をした。
「分かんない〜……」
「どれ」
「ここ」
ってまだ3問目かよ……。綾って数学苦手だけんね……。
俺はシャーペンを持って、説明を始める。
「これを、ここに代入して……」
綾は黙って頷くが、時折「何で?」と聞いてくる。数学に何でも何もないじゃろ……。
「分かった?」
大体の説明をしてから聞くと、綾は笑顔を見せる。
「うん、京って頭いいんだね」
「俺は数学くらいしか得意じゃないけん」
「京〜、一酸化ナトリウムの化学式って何かや〜」
情けない理一の声に、俺は溜め息をつく。
「あのさ……気づいちょらんと思うけど、教科書見れば書いちょるけん」
「うわー! そうじゃったー!!」
「早く言えや! 教科書貸せ!」
「持ってきちょらんのか……」
俺は立ち上がって、本棚に無造作に置いていた教科書を理一に渡す。



