「また連絡するけん」
「うん! みんなホントにありがとう!」
病院の玄関まで綾とおじさんを見送り、白のワゴン車は雪の中走り去って行く。
おじさんは俺らを送ると言ったけど、用事があるからと言って遠慮しておいた。
「んじゃ俺らも行くかぁ〜」
綾を乗せたワゴン車が見えなくなると、俺たちは街に向かった。
明日行う、綾の退院祝いのパーティーを兼ねた勉強会をするために。
冬休みの課題が、ウンザリするほど大量に出されたからだ。
街にある大きな店で、明日のための飲みものや食べものを物色していると、理一が話し始める。
「てか俺、京の家初めてだや」
「あ。あたしもだけん」
理一と朋が言うと、和也が首を傾げた。
「俺は〜……あれ、家の前までしか行ったことなか?」
「入ったことあるじゃろ。スケート大会の時に。……でも、家の前に来た時は、ほんとうざかったけん」
真顔で言えば、和也は「うざいとか言うなや!」と俺の背中を叩いた。
確か小5の時、綾が本当に泊まりに来ちょるんか、和也と何人かが朝から確かめに来たんだよな。
つい思い出して、笑ってしまった。
あの頃は綾とずっと一緒にいられると、疑いもなく思っちょった。