『退院おめでとーー!!』
「わっ! ありがとーっ」
今日は綾の退院日。
心の病だと仮定したものの、次発作を起こせば綾の命が危険にさらされることは変わらない。
綾には今までと同じように、しっかりとした食事と睡眠、激しい運動は避けること、定期的な検診が義務づけられた。
「キレーッ」
綾はすっかり俺たちと打ち解け、前とほとんど変わらない笑顔を見せるようになった。
祝いの花束を嬉しそうに眺める綾に、俺はもうひとつ土産を渡す。
「綾、これも」
「え、なに何っ!?」
差し出したのは、数枚の用紙。
「冬休みの課題だけん」
「えぇぇ……いらない……」
げんなりと肩を落とす綾に、みんなが笑った。
今日は終業式だった。明日から、冬休みが始まる。
陽子や朋は、綾と冬休みの予定を立てまくっていた。もちろん、俺たち男子も強制参加だ。