焼却炉の横に置いてあった古い新聞を炉の中に入れ、火をつけたマッチを投げ込む。


しばらくするとパチパチと音がして、熱気が溢れてきた。


……これは、決意だ。


アルバムの分厚さ以上に感じる重み。それは積み重ねてきた時間の重さと、折り重ねてきた想いの重さ。


足かせになるくらいなら、捨ててでも前に進む。


「……」


重いアルバムを、一気に焼却炉に投げ込む。ゴオッ!と焼却炉から火が吹き出し、戸を閉めた。



焼却炉に繋がる煙突から灰色の煙が立ち上がる。



思い出が、塵になっていく……。



夜空を見上げると、無数の星が輝いていた。いつか見た、星空に似ていた。



……思い出なんていらん。過去だって振り返らない。


大事なのは、今だ。


綾が生きちょる、今。

綾が生きていく、未来。


俺が求めるんは、ただそれだけだ。大事なのは今と、未来。


綾の今と、未来なんだ。