自分の部屋に戻り、着替えもせずに本棚の前に立つ。


その中から分厚いアルバムを何冊か取り出し、テーブルに積み上げた。


1ページ1ページ、懐かしむように、思い出すように、ページをめくっていく。


綾と俺の写真でほとんど埋まっちょる。撮ったのは全部、母さんか律兄だ。


勝手に撮って、勝手に現像して。勝手にアルバムまで作った挙げ句、俺に押し付けてきた。


「……なんだこれ」


無邪気に笑う俺と綾の姿に、フッ……と思わず笑ってしまう。



くだらなくもあり、子供らしくもあり。幸せが溢れるアルバム。



何時間もかけて見ていたら、最後のアルバムを見終わった時には真夜中を過ぎていた。


俺はアルバムを持って、静寂なリビングへ向かう。


家族が寝静まった家は少し恐怖を感じるくらい、暖かさも温もりもなかった。


俺はひとり玄関に向かい、真冬の外に出る。


「……さむ……」


分厚いアルバム数冊を抱き締め、家の裏にある焼却炉に向かった。