「京くん……顔を上げて……」
おじさんの優しい手が、俺の背中を撫でた。
ズッと鼻をすすって顔を上げると、おじさんは微笑んでいた。
「綾を……頼むよ」
「三波さん……っ」
「京くんの言うとおりなら、僕は京くんを信じてみたいんです」
「……おじさん」
「……自惚れなんかじゃないよ。……君は誰よりも、綾を理解してる」
ぐっと眉を寄せる。涙が、溢れてしまいそうだから。
「このまま何もできずに綾の死を待つくらいなら、仮説であろうと、京くんを信じるよ」
「………」
おじさんの瞳は、綾によく似ちょる……。
眩しそうに、大事そうに。目を細めるその笑顔が、綾と重なってしまう。
「……あまり無理をしちゃダメだよ。どんな結果であれ、君を責めたりしないから」
言葉にならず、ただ首を振る。
「……綾を愛してくれて、ありがとう」
俺のほうこそ、お礼を言いたい。
仮説を提示して、救ってみせるだなんて。そんな、綾しか見えちょらん俺を信じてくれて。
愛してくれてありがとうだなんて。
おじさんの、何よりも大事な宝物を、俺に託してくれて。
「……ありがとう……ございます」
必ず、綾を救っちゃるけん。



