「綾が発作を起こすのは、心に傷があるからだけん」
「こ、ころ……?」
「綾が最初に傷を負ったんは、お母さんが亡くなった時」
「弥生……?」
綾のお母さんは弥生って言うんか……。
「弥生さんが亡くなったんは、綾が6歳の時ですよね?」
「ああ……そうだよ」
「綾が初めて発作を起こしたのも、6歳だけん」
「それが何か……関係あると……?」
先生にチラリと視線を向けて、俺は話し始める。
「俺が知っちょる限りだけど、小6の夏、発作起こしちょりますよね」
「あぁ……そうだ」
「その頃、綾は弥生さんの夢を毎日見ちょって、苦しんどったけん」
「弥生の……夢?」
「その話は後でしますね。次は中学に入る前……俺のせいです。俺が東京に行ったと知っちょー日に、発作を起こしたって兄に聞いたけん」
「……うん、その通りだよ」
次は……そうだ。陸に聞いた。
「中3の冬、修学旅行先で軽い発作を起こしたけん。……東京で俺を見かけちょー日です」
「………」
先生もおじさんも黙る。
「それからこの前。おじさんには話しましたよね……ここ最近綾と俺たちは、一緒におらんかったって。……綾がそう望んだけん。かなり追い詰められちょったと思います」
「ああ……」
「それは……綾ちゃんが心を病んでる時に、発作が起きると?」
先生は困惑した表情で俺を見つめている。
「……綾は、明るくて、優しくて、いつも友達の中心で笑っちょる」
眩しいくらいの笑顔で、周りの人間を照らしちょる。
「だけど本当は……誰よりも弱いけん」
弱くて弱くて、綾は誰かに支えてもらわんと……ひとりなんかじゃ、生きていけん。



