「おいーっす」
病室のドアが開いて、理一と陸、陽子と朋がやって来た。
「おっせーよ! あ、あいつ、髪シルバーとかに染めちょるけど、ただの底抜けに明るいバカだけん」
「ほんとに?」
クスクス笑う綾に、理一たちが寄ってくる。
「おい、バカって何の話しちょるけん!」
「綾に俺らの性格とか教えちょっただけだが〜。綾、みんなの名前覚えたけん! な!」
和也が笑顔を見せると、恥ずかしそうに頷く綾。
「マジ? 俺の名前は?」
「……理一く……理一」
「おー、いいじゃん!」
綾はその後も、みんなの名前をちゃんと当てた。
「あの……」
笑っていた綾が、急に小さな声で囁く。
「覚えてなくて……ごめんなさい。……どうしても、思い出せなくて……」
泣きそうな顔でそう呟いた綾に、俺たちは顔を見合わせる。
「無理して思い出さなくていいけん、綾」
そう言った俺に、視線が集まる。
「覚えてなくたって、また友達になればいいが」
微笑んだ俺に、グッと眉を寄せて唇を結ぶ綾。
「そうだぜ綾〜。お前は何も悪くないが! 俺ら超仲よしだからさ、また仲よくなれるけん! 謝る必要ないじゃろっ」
「綾はそのままでよか」
和也と朋が言うと、うっすら涙を浮かべて綾は笑った。
……ずっと見たかった、綾の笑顔。
だけど、別人の笑顔だ。綾だけど、綾じゃない。
そんなことを思う俺は、ヒドい男じゃろうか。



