「どちらさまですか……?」
綾の言葉に、耳を疑った。
「綾……?」
理一の表情が固まっている。
俺はよろりと1歩、また1歩、綾から離れた。口元を押さえる手が、震える……。
「――綾っ!?」
開けっ放しのドアから、おじさんが入ってきた。
「目が覚めたのか!?」
駆け寄ってきたおじさんを見て、綾はぱっと顔を明るくさせた。
「パパッ!」
「よかった……綾っ!」
おじさんは今にも泣きそうな笑顔で綾を抱き締め、離した。
「よかった……。みんなも来てくれたんだね……ありがとうね」
おじさんは立ち尽くす俺たちにお礼を言っているけど、きっと誰も耳に入っちょらん。
「綾、みんな心配してお見舞いに来てくれたんだよ」
おじさんの言葉に、綾はまた不安げな表情を見せた。
「……綾?」
返事をしない綾に、おじさんは不思議がる。
「……この人たち……綾の友達なの?」
「……え?」
……間違いない。
聞き間違いなんかじゃなかった。
綾は記憶の中から、俺たちを消した。



