「綾!? 何しちょーか!」
「京……」
カバンを頭の上にかざして駆け寄ってくる京の姿を見て、ホッとして涙が出そうになった。
玄関の前で立ち尽くしていた綾は、半泣きで答える。
「鍵……なくしたみたい…」
「なくしたぁ!? 雨宿りしようと思っちょったのに! バカッ」
「バカじゃないもんっ」
「分かった分かった。はぁ〜……どうするかやあ〜」
困り果てている中、雨の音だけが響く。
京は鞄についた雨の雫をはらって、肩に掛け直していた。
「……俺んち行くか」
「へ!?」
何がなんだか分からぬまま、京は綾の手をとって走り出した。
向かう先は初めての、京の家。



