「……行こう。綾のとこ」
「うん……会いたいけん……」
陸と陽子の言葉に全員が頷いた。
決まりだ。
学校が終わったら、綾に会いに行こう。綾のそばに、いてあげよう。
昼飯をあまり食べないまま、俺たちは学食を出る。
「梢先輩、本当にありがとうございました」
真っ赤な目を見つめて微笑みかけると、梢先輩は左右に顔を振った。
「じゃあ」と別れようとしたら、
「あっ……のね……」
と、言葉を発した梢先輩は視線を泳がせ、俯いてしまった。
「………?」
まだ何か、あるんじゃろうか。
梢先輩の様子は、言うか言わないか悩んどる感じだった。
「……まだ何か、綾が言っちょったことがあるんかや」
尋ねると、梢先輩は少し間を置いてからこくんと頷く。
「あの、ね……綾に、みんなと離れるのが……それが1番の望みなんかや?って……聞いたけん」
「……」
「……1番の望みだって、笑って言っちょったんじゃけど。あんまり寂しそうにするけん……本当はどうしちょーの?って……」
本当はどうしたい?
綾の、本当の望みは……。
「教えてください!!」
言い辛そうにする梢先輩に、陽子が駆け寄った。
梢先輩は決心したように俺たち5人の顔を見てから、真っ直ぐ俺を見つめた。



