ごめん、綾。
気づいてやれんかった。気づこうともせんかった。
苦しかったよな。つらかったよな。
寂しかったよな……?
お前は、ひとりじゃなか。
絶対に、絶対に、ひとりになんかさせん。
お前は俺らの中心で、笑っちょればいいけん。
きっとそれが俺の、1番の幸せなんだ。
「本当にごめんなさい……もっと早く気付いちょれば……」
涙を流す梢先輩の背中を、朋が優しくさする。
「先輩のせいじゃないですよ」
当然だ。梢先輩を責めようなんて誰も思っちょらん。
「……梢先輩。話してくれてありがとう」
俺が言うと、梢先輩はより一層眉を寄せて泣いた。
こんな優しい人の告白を断ってしまったことに、今さらながら心苦しくなる。
「綾……きっと寂しかったと思うけん。……だけん、綾のとこに……っ」
行ってあげて。
戻ってあげて。
そんな言葉の続きが、梢先輩から聞こえるようで。
誰からともなく俺たちは顔を見合わせた。
みんなの顔には、涙のあとが残っちょる。



