「どきんしゃい!」
集まった生徒たちをかき分け、和也と共にふたりの先生が駆けつけて来た。
「三波さん!?」
「おい、嘘じゃろ……!?」
人工呼吸をしている京に、和也と先生は驚愕の表情を浮かべる。
「……ねぇ、あの子……呼吸……心臓、止まっちょるの……?」
そんな声が聞こえたことで、急に視界や思考がはっきりしてきた。
それでもやっぱり目の前の光景が夢であってほしいと、受け入れられずにいる俺はその場から動くこともできない。
心臓が、止まっちょる……?
なんでだよ。なんで、綾がそんな……。
「もうすぐ救急車来るけん!」
「三波さん!」
口々に騒ぐ先生たち。必死に人工呼吸をする京。
体が震えるのは恐怖からなのか。握り締めた拳の中が異様に熱く、湿っぽい。
……綾。
綾……!