「聞いちょるの!?」
ガッと肩をつかまれ、麻実の険しい顔が間近に来た。
麻実の瞳に、困惑した表情のあたしが映っている。
何で……?
あたし、京から離れたんだよ……?
「綾は京のこと、好いちょらんのでしょ?」
つかまれた肩が痛い。
怖い……。
「何で普通に話しちょるが!!」
「おい麻実っ、何言っちょるけん!」
和也が麻実を止めると同時に、つかまれていた肩から麻実の手も離れた。
「だって綾が!!」
「落ち着けよっ!」
怒りが収まらない麻実に、和也が怒鳴る。
……足が動かない。体が鉛みたいに重い。
「綾がどーしたけん」
和也は麻実をなだめる。
体育館に向かう、食堂の前の通路を歩く生徒たちが、興味本位であたしたちを見てくる。



