「はい、お水」

「ありがとうございます」


先生からマグカップを受け取り、冷えた水を喉に流す。


「今何時間目ですか?」

「5時間目終わる頃だけん」

「えっ!?」


5時間目って……あたしそんなに寝てたの!?


「ぐっすり寝ちょったからね。三波さんだけ特別だけん」


あたしの病気を知ってる先生は、ふふっと笑う。


「体調は? よくなっちょー?」


先生の温かい手が額に触れる。


「平気。6時間目出ます」

「そう? でも次、全校総会だが」

「総会?」


って、体育館で全校生徒が集まって誰かの表彰式とか、校長の話を聞くやつだよね。


「無理して出なくてもいいが」

「んー……」


ちょっとめんどくさい。顔に出たのか、先生はおかしそうに笑って、それでもあたしの体を気づかってくれる。


「どうするかや? 出ないなら休んでていいけん」

「……たまには出ようかな」

「そ? じゃ、行ってきんしゃい」

「ありがとうございました」


コートと荷物を持って、あたしは保健室を出た。