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いつの間にか家に着いていて、あたしはひとり、部屋のベッドに座り込んでいた。


先生の言葉が、頭の中でぐるぐると回ってる。


覚束ない足で立ち上がり、机の1番上の引き出しを開ける。


「懐かしー……」


手に取ったのは中1の時に律兄からもらった、あたしと京が手を繋いで並んで寝てる写真。


小さいなぁー……小5の時だもんね。


しばらく眺めてから引き出しに戻して、代わりに中学の卒業アルバムを手に取った。


フリーページを、1ページ1ページめくっては見返す。


和也が1番写ってる。写真が変わるたび、理一の髪色も変わってる。


委員長らしい朋が写ってる。陸と陽子が、仲良そうにピースしてる。


……みんなの中心で、綾が笑ってる……。


「……幸せそう」


卒業アルバムを閉じて机に置くと、カーテンの隙間から外が見えた。


……雪?


カーテンを少し開けて外を眺めると、真っ白な雪が、空一面、ところ狭しと降っていた。


「……ママ」


綾ね……危ないんだって……。


ごめんね。ママが、守ってくれたのに。もう、ダメかもなんだって。


……ママ。綾が死んだら、迎えてくれる? 抱きしめて、くれるかな?



……もうすぐ会えるよ。


きっともうすぐ、ママがいる場所に綾も行くからね……。


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