「手術をしたほうがいいかもしれん」
押し黙るあたしに、先生はやっと視線を合わせてくれた。今度は、あたしが俯いてしまったけれど。
「……心筋に患いがあるのは分かっちょーね? 急激な症状はあらわれんけど、左心室の肥大の経過が長引いちょる……好ましくない状態が続いちょるけん」
「……手術したら、治るの?」
リスクが高いんでしょう?
原因が分からないのに手術して。もしそれで、効果がなかったら。それ以上の絶望なんて、ない。
「分からんけん。リスクも高い、術後、どこまで症状が改善されるかも分からん。……綾ちゃん次第だが。それでも、万にひとつでも可能性があるなら、それに、賭けたいと思っちょーなら」
嫌だ。そんなの、嫌。
今さら、かすかな希望なんていらない。
万にひとつの可能性を信じるくらいなら、あたしは自分を信じてる。
大丈夫だって。
ずっと、生きてられるって。
……今さらそんなこと、思えない。



