「ダメだが! もっと食べんしゃい! 米とか、ほれ!」
「え? いや……」
食欲がないんだ……けど……。
押し付けられたおにぎり2個を見つめる。
「えっと……220円だよね?」
「お金はいいけんっ。たんと食べんしゃい!」
「ダメだよ。他の生徒も見てるし。赤字になっちゃうよ」
財布から220円出して、おばちゃんに手渡す。
「ありがとう」
そう笑って、あたしは食堂を後にした。
「綾っ……!」
「……あ」
食堂を1歩出ると、梢があたしを引き止めた。
「……綺麗な色じゃね」
引き止めたものの何を言ったらいいか分からなかったのか、梢は突っ込みやすい髪色を話題にしてきた。
危うく吹き出すところだったよ……。
「……ありがとうございます」
あたしは少し笑みを浮かべて、梢の手におにぎりをひとつ置いた。
「え? ……えっ!?」
「買いすぎたんであげます」
「えっ!?」
戸惑う梢をそのままに、あたしは振り向くことなく教室に戻った。



